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The Blind Side
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2pt attemptをすべきなのはいつ?

TDの後、キックで確実に1ptを狙いに行くか、成功率は高くないが2ptを狙いに行くかというのは一つの選択になります。

自分がNFLを見始めた当初(2021年頃)は、ほとんどのケースではキックを選択していて、2ptをやらないと追いつけないという局面(8点差とか15点差とか)や、1点をとってもあまり意味がない(TD直後に7点差、キックを蹴っても8点差にしかならない)場面でしか2ptを選択していなかった印象です。

でも最近は、そうではない局面でも2ptが選ばれている印象です。これは本当にそうなのでしょうか?

本記事ではそのあたりから、2ptについて深堀りしていきたいと思います。

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TD後の1pt/2ptの成功率

1ptを選択した場合は、ボールを敵陣15yd地点からスナップする必要があるので、33ydsのFGトライになります。この成功率は、過去の実績から計算すると概ね95%前後といわれています。成功で1点・失敗で0点なので、単純に計算すれば得点期待値は0.95点となります。

2ptを選択した場合は、敵陣2yd地点からのスナップですが1プレイでTDを取る必要があります。成功率は過去の実績から計算すると50%程度になります。成功で2点・失敗で0点のプレーが50%で成功するとすれば、得点期待値は1点になります。なので、アナリティクス的には、得点期待値が高くなる2ptのほうが行うべきプレーになりやすいです。

ちなみに、NFL4thで求めた1ptと2ptの成功率は以下です。1ptはスタジアムが屋内なら約94%、屋外なら約96%と単純化されています。2ptはオッズなどから算出された戦力差によって成功率が40~60%ぐらいの幅で算出されています。

1pt/2pt NFL4th算出成功率

NFL4thについて

名前の通り、4th downでGo/Punt/FGのどれをすべきかを計算するためのパッケージです。恐らくこの計算結果で出てきたやつは見たことある人も多いはず。

https://www.nfl4th.com/

本パッケージには、4th downだけでなく、TD後に1pt/2ptのどちらを選択すべきか計算する関数もあるため、本記事ではそれを使っていろいろ見ていきます。

2ptの試行率は本当に上がっている?

以下は2016~2025年における、2ptの試行率になります。

2016-2025 2pt試行率

データ的には2ptの試行数自体はそこまで大きく変わっていません。全体を見ると10%前後で横ばいといった感じです。

では、2ptが必須ではない場面でのptが増えているというのは気のせいだったのでしょうか? 実はそうではありません。 限定的ですが割とあるシチュエーションとして、14点ビハインドのチームがTDを取って8点差に縮めたケースを取り上げます。

2016-2025 8点ビハインドでの2pt試行率

このシチュエーションに限定すると、2025年は2pt試行が約3割まで来ています。明らかに年々増加傾向にある選択だといえるでしょう。

TDに8点ビハインドで2ptを選択すると勝率はどう変わるか

8点ビハインドの時に2ptを選択すると、勝率はどれぐらい変わるのでしょうか? 以下は2025年に実際にそのシチュエーションで2ptを選択した状況の詳細です。

2025 8点ビハインドでの2pt試行詳細

これ、アナリティクス的にはそこまで勝率は変わってないです。

例えば、面白いのだと一番上のWeek1のBUFの選択です。まだ3Qで残り時間は20分以上ある状況で、しかも2ptの成功率は52.25%と得点期待値は1点を超えているのにもかかわらず、WPは1ptを選択したほうが高くなるということです。

アナリティクスにおけるWPの予測は過去の膨大な試合において、残り時間と点差によって勝率はどれぐらいになるかというモデルで求められます。なので、この局面においては、50%近い確率で8点差のままというリスクを抱えながら6点差を目指すよりも、確実に7点差にしたほうが過去の試合結果では勝率が高かったということになります。

アナリティクス的に2ptをやるべきシチュエーションは何か

では、アナリティクスにおいて2ptをやるべきシチュエーションは何でしょうか? 2025年で2ptを選択したほうが勝率が高くなる試合のTOP10を以下に載せます。

2025 2pt選択時のWP上昇TOP10

4Qで2点ビハインドの時に追いつくための2ptが4つありますね。これは1ptを選択する意味がほとんどないので自明です。全てのケースでちゃんと2ptが選択されています。

それ以外のケースについては、全て2ptが選択されておらずPATを蹴っています。各ケースについて少し詳細に見てみましょう。

7点ビハインド時の2pt

この時は、成功すれば5点差・失敗すれば7点差のままとなります。5点差まで詰め寄れば、相手がFGを蹴っても1ポゼ差のままなので、FGまでは許容できる状況になります。

TD後に7点ビハインドになったケースは2025年に15ケースありますが、そのうち12ケースで2ptが優勢。しかもそのうち9ケースは2ptのほうがWPが1%以上高くなります。このシチュエーションは明確に2ptを狙うべきといえるでしょう。

20点リード時の2pt

成功すれば22点リードとなり、相手は同点にするためにも2ptが必須となります。有難みはそこまでないような気はしますね……

過去のデータの蓄積においては、20点と21点ではWPがほとんどWPは変わらないけど、序盤に22点差になれば殆どのケースで勝っている、ということなのかもしれません。 このケースはそもそもデータ量が不足していてモデルの精度が高くないのかもしれませんね。

1点ビハインド時の2pt

試合終了間際において1点ビハインドの時、同点でOTを目指すのではなく、リスクを背負って勝ちを目指しに行くという選択です。このシチュエーションを以下に纏めました。

2025 1点ビハインド2pt選択

かなり試合によってバラけている印象ですね。ただ、Week5のTB@SEAのケースがレアケースで、PATを蹴ったほうが有利になることが多そうです。

2025年シーズンで、2pt試行はアナリティクスに忠実だったか

2025年の全TDにおいて、1ptと2ptでWP差がどうだったかのヒストグラムが以下です。右側が2pt有利側です。

2025 1pt-2pt WP差ヒストグラム

やはり、得点期待値が2ptのほうが僅かに高いので、2pt優勢な場面は多そうですね。

2ptのほうが1ptよりもWPが1%以上高くなるケース(赤線の右側)は、合計で219ケースありました。さてこの中で正しく2ptを選択したケースはいくつあったでしょうか?

僅かに9ケースのみです。9/219なので僅か4.1%です。

しかも、いずれのチームも4Qでビハインドで追い込まれて、必要に迫られて2ptを行ったケースです。9点ビハインドというケースも、先に2ptをやるのが主流です。アナリティクスに沿ったというよりもセオリー的な選択ばかりです。アナリティクスに従って2ptを実施したチームは無かったといってもよいでしょう。

ただ、擁護できる点もあって、例えば1QでTDを取った後の2ptの判断などです。そもそも、最初のTDでいきなり2-ptにいくような判断は前例がほとんどないと思います。何回も書いていますが、あくまでNFL4thにおけるWPの計算は過去の試合データに基づいた統計モデルによるものです。前例がないということは精度が低いということです。アナリティクスは1QのTD後に2ptに行くべきだとは言っていますが、これはあまり当てにできないと思います。

結論

近年、4th downはかなりアナリティクスに従って選択されている、といわれるようになりました。(あくまで印象なのでふたを開けてみれば違うかもしれませんが…) 一方で、2ptの判断に関してはかなり旧来的といえるでしょう。8点ビハインド時に増えた2ptも、アナリティクス的に言えばそこまで大きな利点はありません。なんで増えたんでしょうねこの判断。

ただ、2ptが少ないのは実務的な理由も考えられますよね。レッドゾーンでのプレーというのは、やはりあまり見せたくないものですし、できればTDを取るために使いたいものです。選択できるプレーは無限ではないですし、とっておきのプレーで+1点を取ってWPを少しだけ稼ぐ、というのは勿体ないですしね。

なので2ptは今後もそこまで増えないと思います。ただ、7点ビハインド時の2ptはもっと選択されてもいいとは思います。これに関しては明確にWPに貢献するケースが多いです。


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